GlitterPuzzle’s diary

それで、いいのよ。

うしろの女

電車で混んでるとはいえ言葉なしでぐいぐい押してくるうしろの女がいたから。絶対動かねえぞと思った。反対に人間としてのバランスを保つために、ほかの人がおりたいときは、すみやかにスペースを作ったし、前の席が空けば、座りたそうな人に譲った。うしろの女は、電車がすきだしたら、わたしの横を通り過ぎながらわたしから右斜めのスペースに動いた。その際、わたしを横切るとき、なんとも曇った気だるい音を吐いてきた。わたしの右斜め前に、さっきまで、うしろからぐいぐい雑なリズムでわたしの背中を押してきた女が視界に入ってきた。わたしは、もしその女が、真向かいからわたしに何か視線を送ってくるのなら、喜んで視線を返そうと準備した。もしくわ、その女がわたしより先に電車を降りるときに、優しく微笑んであげようと思った。

その女は、ゆとりあるスペースを得たからなのか、わたしを真向かいから、どんな人間かを一瞬で認識したからなのか、

最後まで、その女はわたしを見ることはなかった…

最後まで、その女はわたしを見ることはなかった…

わたしは、その女を真向かいから見たときその女が、わたしの想像とは異なり、まともそうな人間で大変驚いた。

そして
満員電車という狭いスペースでは、こうまで人間を変えてしまうんだと、わたしは電車を降りたとき、相変わらずあのスペースにいるあの女を微笑みながら、そう思った。